風水概論

古代中国人が、人と環境の関係を観察、研究し、経験を蓄積したことが、風水の始まりです。例えば台風や地震などの災害や獣の襲撃などから身を守るためにはどのような場所に居を構えたらよいか?あるいは水や食料を継続的に得たり保存するに便利な場所は?暑さ寒さかを和らげる家は?など、つまりは、どのような場所でどのようなつくりが住居として安全かつ快適かを求めてきた結果、できあがった「生活環境学」。

目次

風水とは

大地や川、池などの位置や形などから、よい氣が集まる場所を探すこと。
そしてそこに風水理論に基づいた建造物を建てることを言います。

風水の歴史

6000年以上も前の墓(左に青龍、右に白虎)から・・・
紀元前2700年前、黄帝による方位磁石の発明
・第1期(BC200年頃~AD420年頃 前漢~東晋)風水学草創期ー相宅・相墓術と呼ばれていた
・第2期(618年~1279年 唐~南宋)風水学全盛期ー易経を中心に体系化、羅盤の使用開始
・第3期(1279~1661年 元~清初頭)風水継承期ーさらに発展
・第4期(1662年頃~ 清~現代)風水学衰退・転換期ー批判や否定される

風水の世界事情

台湾・香港・中国などの中国人地区、シンガポール・マレーシア、タイなどの華僑が多くいる地、アメリカやカナダなど華人移民国、韓国などでは風水は人気があり、それぞれの国の文化や環境と融合しながら、風水師が活躍している。
台湾は世界で最も風水が社会に浸透している国といえる。風水は既述の通り中国大陸で創設され、陰陽五行説や八卦などの考え方が根底にある。ところが、文化大革命により中国の伝統的思想が排除され、その中に占術や風水なども含まれていたことで迫害され、そのため多くの占い師や風水師や関連書物が台湾や香港に逃れてきた。その結果、台湾や香港でその思想研究が継承され、台湾や香港は風水の古典に関する研究が世界でも最も発展した。

風水と日本

家相

家相は、風水的な内容も含まれているが、日本特有の気候風土や宗教観から日本風にアレンジされたものである。家相は鬼門や裏鬼門を嫌う、という特徴がある。昔から「鬼門である東北に水回りをつくるな、玄関もダメ」といわれている。
風水では鬼門を必要以上に恐れることはない。陰陽道が日本に伝わり日本の神仏習合思想と深く関わりをもつことで、日本独自の家相の発展が鬼門を異常に恐れる大きな要因とされる。

<方位>

気学

九星気学は、大正末期に園田真次郎氏が体系化した日本独自の占いである。
よって、中国の伝統的な風水と気学はまったく違うモノと言える。
(ついでながら奇門遁甲も方位術ではあるが、気学とはまったく違うものである)
※類似点としては『洛書数』と呼ばれる「1~9」の数字を用いて運気を読み解くこと。
※気学は東西南北が30度で、その他の方位が60度。
風水では、全て均等に45度づつ(奇門遁甲も同様)
※気学の「本命星」は誕生年で九星に分類し、男女一緒。
風水では「本命卦」といい、同じように誕生年で分類するが、男女は変わる。
八卦に分類される。その場合、同じ誕生年でも男女は違ってくる。
例えば、2021年の誕生年で、気学では「六白金星」、
風水では男性が6乾命、女性が9離命ということになる。

<本命卦一覧>

風水分類

形から判断・・・外見や形から判断→目に見える
=>巒頭派(らんとう)/ 形勢派(けいせい)

理氣・・・方位や時間から判断→目に見えない
=>玄空派 / 八宅/三合派 / 三元派

陽宅風水 ・・・住居 / 都市計画
陰宅風水・・・墓地

◆巒頭・・・地形や自然または人工の造形物(石、森林、河川、湖沼、建物、道路、電信柱等)の吉凶や影響を判断する技法
◆八宅派・・・建物の座の方位により建物を8つに分類して判断
◆玄空飛星派・・・私たちの周りには9種類の氣(エネルギー)があり、それぞれが各方位の空間に存在し、時間とともに変化するものをとらえて判断

※巒頭と理氣は、長い年月をかけてそれぞれがお互い補い合いながら発展してきた。
現代の風水師は、ほとんどこの両方の看法を用いて判断している

巒頭派

巒頭派概要

山、谷、川、湖、ビル、家、マンションなどの形あるものは、それぞれが氣を発している。一般的に、美しい、穏やか、安定といった形は、吉の氣と言える。氣が凶ならば、乱雑、鋭角、不安定といった形となる。これらは私たちの五感でとらえることができる。
中国の風水研究論文「風水探源」では、「自然を観察し、自然を理解することを重視する。理論自体は、長い年月をかけて実際の調査考察の結果から生み出されたものが多く、きわめて合理的なものを含んでいる。」と述べている。

《巒頭派の対象空間》
巒頭派では、外部(室外巒頭)と内部(室内巒頭)を分けて判断する。

◆室外巒頭:建物の外部状況の判断
「土地、建物、周辺の形」
環境、土地、近隣建物、道路、電柱、看板、公園、山、川、湖、池など。

◆室内巒頭:建物の内部状況の判断
「家の中の間取りなどの形」
玄関、階段、部屋、廊下、天井、壁、ドア、窓、電化製品、観葉植物、インテリアなど

※巒頭は、目で見える形を判断する方法で、その氣には二種類、つまり良い「生氣」と悪い「殺氣」がある。風水では、「凶を避ける」という原則があるので、そのために悪い氣に知り、それを避けたり対応策をとることが、風水を施す、ということになる。

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